ポリープという言葉はよく耳にされると思います。けれどポリープを間近に見る機会というのは、ほとんどないでしょう。ニキビなどのように、目にするところにできるものではないからです。
ポリープがかなり大きくならないかぎり、体が違和感を覚えることもありません。そのまま気付かずに何年も放置している人も、かなりいることでしょう。
けれどポリープのなかでも、胃と腸にできるものは厄介です。ガン化する可能性があるといわれているからです。ポリープを見つけるには、検査を受けるしかありません。その前に腸ポリープとはどういったものなのか、調べてみましょう。
腸ポリープとは?
ポリープは良性腫瘍の一種で、管状や袋状の中身が空洞の臓器にてきる突起物です。胃や腸にできる消化管系、声帯にできる呼吸器系、女性がなる子宮系とあります。
大腸にできるのが腸ポリープで、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられます。このうちの腫瘍性ポリープは、大きくなるうちに一部がガン化するのです。
○腸ポリープができる原因
脂肪の多い食品を多くとり、運動不足で便秘気味の人がなりやすいと言われています。また、家系に大腸ガンにかかった人が多くいる場合、腸ポリープができやすく、さらにガン化しやすいともいわれています。
これまで大腸ガンは、欧米に多い病気といわれてきました。それが戦後豊かになった食料事情の影響で、日本でも増えつつあります。
高脂肪のものを食べていながら、それらを消化して排便に導く繊維質のものを食べる量が、以前に比べて減っているのが問題なのです。
腸内に残った高脂肪のかたまりは、そこで腐敗して悪玉菌を排出します。悪玉菌はポリープを育てる手助けをして、さらにガン化へと導いていくので厄介です。
○腸ポリープができているか知るには
まず便潜血検査を受け、腸内に出血があるかないか調べます。潜血反応がでたら、ただちに内視鏡検査を受けましょう。
いろいろな検査方法がありますが、内視鏡検査の利点はポリープの治療をすぐにその場でおこなうのが可能なことです。肛門からカメラを挿入するので、恥ずかしいとか痛いのではないかと思われるでしょうが、ポリープがあれば後に内視鏡での治療になるのですから、最初から思い切って内視鏡検査を受けておきましょう。
腸ポリープの治療
良性のポリープは処置せず、ガン化するポリープだけ除去します。内視鏡の先端に付けられたはさみ状の器具でポリープをカットするか、輪になった針金で患部をぎゅっと絞って取り除きます。
この腸ポリープを初期に除去することで、大腸ガンに進行する率がかなり低くなったという研究結果がアメリカで発表されました。初期治療に効果があるという、好例といえるでしょう。
けれど毎回、完璧に腸ポリープが除去できるとは限りません。見逃したポリープがいきなりガン化して成長することもあり、ポリープ由来ではない大腸ガンの発症もあります。
そのような場合は、開腹しての手術となります。腸の一部を切除して、病巣を取り除くこともあります。
腸ポリープを作らないためには
腸ポリープは誰にでもできるものですが、ガン化するほど増やしてしまうのはいけません。作らないためには、どのような注意が必要でしょうか。
○定期的に検診を受ける
40代で肥満気味、飲酒、喫煙が多く、家系に大腸ガンにかかった人がいる場合は、定期的に検査を受けることをおすすめします。
ガン細胞は害をなすほどの大きさに成長するのに、5年近くかかるといわれています。では5年に1度検査すればいいのかというと、そういったものではありません。進行性のガンですと、あっという間に育ってしまうからです。
腸ポリープがガン化していた人なら、3か月から半年ぐらいの間に、もう1度内視鏡検査を受けるようにおすすめします。ポリープができると、何度もできることがあります。ポリープができやすい体質ということもあるのでしょう。1度ポリープの処理をしたからもう安心などと思わずに、何度でも検査してください。
○食生活の改善
脂肪の多い肉などを食べるときは、必ずその倍の量の野菜を食べて、食物繊維もしっかりとるようにしましょう。普段の食生活で特に注意するべきは、脂身の多い肉を避け、赤身肉や脂肪の少ない鳥ムネ肉などに替えることです。
魚や野菜、ほどよい量の穀類をとります。そして食物繊維が豊富で、大腸の中を積極的に掃除してくれる、キノコや海藻類もたくさんとりましょう。
腸内環境は3日で変わってしまいますから、ヨーグルト、納豆、キムチなどの発酵食品で、乳酸菌を常に補充しておきます。そういった食生活が無理でしたら、善玉菌を育ててくれるラクトフェリンなどのサプリメントで、補っておきましょう。
カルビなどの焼き肉をたっぷり食べ、しめは脂こってりの豚骨ラーメン。そういう日もあるかもしれませんが、毎日、そんな食事にならないように注意してください。
腸ポリープまとめ
腸ポリープの検査をするだけで、大腸ガンの進行を阻めるならなによりです。早期発見が大事だといわれても、肝臓ガンや膵臓ガンでは、病巣を見つけることが難しいのです。腸ポリープの検査から、すぐに初期の治療に移れるのですから、その利点を活かしましょう。