食べたものを消化吸収している腸、大切な臓器ですが自身ではその働く様子を目にすることはできません。手でそっとお腹を撫でてみても、なにも異常は伝わってこないのです。
肌荒れなら、鏡を見ればすぐに気がつきます。歯が痛くなれば虫歯とわかるし、目がかすめば目薬をさそうと思うでしょう。けれど腸の調子がおかしくても、どこがどう悪いのかよくわからないものです。
あなたはご自分の腸を大切にしていますか?よい腸内フローラを育てているでしょうか。腸が健康なら問題はありませんが、改めてよくある腸の病気について考えていきます。
健康な腸とは
腸の病気を知る前に、健康な腸とはどのような状態かを知っておきましょう。腸は小腸と大腸にわかれていて、それぞれに大切な役割を担っています。
食べたものの栄養を吸収し、全身に行き渡らせるようにする小腸。食べ物のかすから水分を吸い取り、不要な雑菌などと一緒に排泄させる大腸。この腸の働きが正常だと、以下のような様子になります。
・毎日一定の時間に排泄がある。
・便の状態は正常、ほどよく水分を含み、強くいきむことなく排泄できる。
・オナラは1日に10回以上はでているが、いやな臭いはなくて臭くない。
・空腹時や排泄前にお腹が鳴ることはあるが、一日中鳴っているようなことはない。
・腸が下がっていることはなく、定位置にあるので冷えはおきない。
毎日正常に腸が働けるように、腸内環境は常に整えておくことが必要です。腸内を整える善玉菌は、乳酸菌やラクトフェリンなどのサプリメントで活性化させ、悪玉菌が増えるのを予防すれば、いつでも腸は健康です。
小腸の病気
病気になることが少ないといわれている小腸ですが、病気になると深刻なものが多いのです。代表的なものをあげていきます。
○小腸ガン
発生する確率はかなり低いのですが、小腸にできる腫瘍のうち60%はガンとなります。
○腸重積
小腸の一部が、他の小腸に潜り込んでしまって起こります。激しい腹痛と嘔吐が主な症状です。
○腸閉塞
小腸のねじれなどで、内容物が先に送られなくなって発症します。激しい腹痛に嘔吐と症状は腸重積に似ていますが、治療法は異なるので必ず病院で診察を受けましょう。
○クローン病
以前は日本にはほとんどないといわれていました。主に若い人が発症する病気です。消化管のすべてに肉腫ができ、そのせいで血便や下痢、体重減少などがおこります。決定的な治療法はまだ発見されていません。
○腸管型ベーチェット
ベーチェット病の主な症状は、口腔部、外陰部、目、皮膚などに潰瘍が発症するものです。それが腸管内でおこると、腹痛、下痢、腸からの出血などがおこります。
大腸の病気
近年は大腸ガンが増える傾向にあり、大腸に対する関心も高まっています。ガンだけでなく、さまざまな病気がありますから、異常を感じたらただちに診察を受けてください。
○大腸ガン
男性、女性ともに、ガンになった人の数で2位になっているのが大腸ガンです。早期に発見されて手術をすれば、予後はよい病気ですので、40歳をすぎたら定期的に検診を受けることが推奨されています。初期はほとんど症状がなく、血便などで異常がわかるころには、かなり進行していることになります。
○大腸ポリープ
大腸にポリープができたら、即座にガン化するわけではありません。良性の場合もあるのです。ただ1センチ以上の大きさがあって、何個もできるようなら要注意です。また家族に大腸ガンの人がいると、遺伝的要素もあるので、ポリープとはいえしっかり検査、予後観察をしましょう。
○過敏性腸症候群
年々増えてきている病気ですが、原因ははっきりしていません。ストレスからくるという説もありますし、腸炎を患った後になるともいわれています。
下痢が続く、便秘が続く、下痢と便秘が交互に繰り返されるなど、症状の出方はさまざまです。腹痛もあり、ガスが大量にでるなどもあるので、日常生活に支障をきたす病です。医師により薬が処方されますが、それでも改善されず長期化することがあります。
自ら健康管理に気を付け、ストレスをためないようにすると改善されることがあります。ラクトフェリンなどで腸内環境を整えていくことを、腸内環境改善のためにおすすめします。また自律神経の乱れも原因として考えられますから、ヨガなどをおこなってみるのもいいでしょう。
○虚血性腸炎
血のめぐりが悪くなり、血管が急につまってしまい起こります。腹痛と血便といった症状がまずでます。下痢が続いたり、下剤の頻繁な使用によっても起きる事があるので注意が必要です。
○潰瘍性大腸炎
クローン病と同じく、以前は発症例の少ない病気でした。腸が自分の腸を攻撃して潰瘍を作り、下痢や粘血便を起こさせます。治りにくい難病です。
腸の病気 まとめ
腸は人が寝ている間も働いている、心臓同様に勤勉な臓器です。腸の健康には、食生活がなによりも大きな影響を与えます。調子が悪いと思ったら、食事内容を見直し、腸内フローラを整えてください。
それでも異常を感じたら、早めに病院を受診してください。クローン病や潰瘍性大腸炎などは、欧米化の食文化が進むことによって増えてきた病気です。わたしたちがまだよく知らない病気もあるのですから、自己判断で病名を決めつけることなく、ぜひ病院での検査を受けてください。