ピロリ菌が発見されたのは、1980年代でわりと最近のことです。それまで胃は強い酸があるので、細菌はいないと思われていました。胃炎や胃潰瘍の原因となるピロリ菌ですが、発見者は自ら実験台となって、ピロリ菌が胃に炎症をもたらすと証明しています。
研究が進み、ピロリ菌が胃癌の原因の1つであるとわかってきました。日本人がかかる癌の中でも上位にある胃癌ですが、ピロリ菌を減らすことで発病を抑えられるのではないかと、さらに研究されています。
ピロリ菌の感染経路
ピロリ菌は人類の約半数が感染しているのではないかと言われています。日本の場合、菌の保持者は30歳以降に多い傾向です。生きている年数が多いほど、ピロリ菌の保有率は高くなっていくようです。
感染するのは不衛生な飲み水、感染者の糞便からなどですが、衛生状態のいい日本ではこれらの原因で感染することはほとんどありません。もっとも多い感染経路は、幼少期に感染者の口がついたもの、食べ物や飲み物を共有することによってです。
特に注意して欲しいのは、お孫さんを可愛がる祖父母です。自分がかじったお菓子などを、そのままあげていませんか?同じスプーンを使って、アイスクリームを食べさせたりしていないでしょうか。
幼少期に井戸水を飲んでいた、海外で不衛生な料理を口にした。そのような経験からか、50代以上の80%はピロリ菌保持者だと言われています。検査して保持者でないと証明されないかぎり、幼児に口移しで食べ物を与えることは控えましょう。
ピロリ菌の症状
ピロリ菌に感染したからといって、いきなり激しい胃痛におそわれたりすることはありません。ほとんどの人は、食事内容によって胃炎になったり、胸焼けがする程度の症状しかでないのです。そのため積極的なピロリ菌対策をすることは、あまりないようです。
けれど長年の間にピロリ菌は胃壁に浸潤していき、ただれた状態を広げていきます。それが何年かすると胃潰瘍になったり、胃癌へと変質したりするのです。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者の90%以上が、ピロリ菌保持者です。重篤な症状がでる前に、ピロリ菌対策をとる必要がありそうです。
ピロリ菌の検査から治療まで
自分が感染者か検査するのに、方法はいくつかあります。まず病院を受診し、内視鏡で胃の中を観察し、一部の組織をとってきて検査するというものです。
内視鏡を使わない検査法としては、血液や尿から抗体を測定する方法や、呼気中の二酸化炭素を分析して行う尿素呼気検査などがあります。
検査結果でピロリ菌があることがわかれば、保険適用内で除菌治療を受けることができます。これは数種の薬を一定期間服用するというもので、きちんと薬を飲み続ければ1回の除菌治療で80%近くのピロリ菌を排除することができるのです。
検査だけ受けたいが、病院にいくのが面倒だと思われるなら、まずは簡単な検査キットを利用されることをおすすめします。ネットで申し込めば、検査キットがすぐに送られてきます。検査結果で陽性となったら、そこで病院にいって除菌治療を受けるべきか、もう1度改めて考えるといいでしょう。
ピロリ菌対策としてとりたいもの
胃に常駐しているが、急激な攻撃は仕掛けてこないピロリ菌。少しでも減らす方法はあるのでしょうか。ピロリ菌の発見以来、減らすための対策の研究は進んできましたが、乳酸菌にはかなり効果があるということがわかってきました。また同じように、ラクトフェリンにもピロリ菌を減らす作用が認められています。
○ピロリ菌に強い乳酸菌
乳酸菌はピロリ菌を減らすのに、かなり有効なものです。特に効果があるのはLG21でしょう。このLG21は胃酸に強く、生きたままの乳酸菌として胃腸内にとどまることが可能です。胃への吸着率もいいので、ピロリ菌対策として最善です。
ドリンクタイプよりも、ヨーグルトタイプのほうが効果があるようです。医師もすすめていますが、効果を急ぐなら1日2個の食用がおすすめです。
○ピロリ菌を減らす食品
認知されて日の浅いピロリ菌ですので、どのような食品が効果があるのか、はっきりと立証されたものは少ないようです。けれどその中でも、昔から抗菌作用のあるといわれていた食品が、ピロリ菌に効果があるとわかってきました。
・ハチミツ 抗菌作用のあるマヌカハニーが特にいいようです。
・梅干し 抗菌作用があります。
・ワサビ 生ものに対する抗菌作用だけでなく、ピロリ菌にも効果があります。
・海藻類 フコイダン、昆布などに効果があります。
・緑茶 毎日飲めるものなので、効果が期待できます。
○抗菌作用のあるラクトフェリン
乳酸菌同様、強い胃酸でも効果が変わらないものにラクトフェリンがあります。ラクトフェリンには抗菌作用があり、ピロリ菌を体外に排出するために働きます。
ヨーグルトとしてとるのもいいですし、サプリメントとして服用しても効果は変わりません。毎日ラクトフェリンをピロリ菌対策として飲むのなら、サプリメントは飲みやすいのでおすすめです。